第Ⅰ章 第13話

私は寮部屋に戻ると、鞄を机に置いた。


この学園寮には、学食や露天風呂などの施設がある。使う、使わないは生徒の自由だ。

私はこの寮に入って、そう言う施設を使った事は一度もない。目立たない様にしている為、普段生徒が使う場所を使う事を避けている。


「お疲れ様でした、お姉様。あの後、大丈夫でしたか?生徒会長様がお姉様に用だったんですよね?」

ウィンはそう聞いた。「ええ。流石に直ぐに私が精霊を行使した事に気付いたみたい・・・。まぁ、気になる事も有るんだけれどね・・・」


「それは、何故、闇の精霊騎士がこの学園に侵入したかって事か?沙織」

私とウィンの話に入って来たのはアオトだった。

「そう。この学園、闇の精霊騎士が侵入出来ない様に出来ている筈なのに、何故、闇の精霊騎士が学内に居たのか、そこが疑問なのよね」


この学園には闇の精霊騎士達が入らない様に神聖で強力な魔法で守られている為、闇の精霊騎士がそんなすんなりと学内に侵入する事が出来ない様になっている。


しかし、何故、今回、闇の精霊騎士がその神聖で強力な魔法を破って、この学園内に侵入したのか、不思議でならない。


それに何故、侵入したのか、その目的も不明だ。


「確かにな・・・。闇の精霊騎士は、詩織を殺した奴等だ。宮家の人間を殺害しようとしているのかもしれないな・・・。まだ、仮説段階だが」

アオトが言った詩織と言う名前の人物は、私の亡き姉・姫宮詩織である。アオトとウィンの元の契約者でもあった。

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