第25話

いつの間にか記憶は途切れる。

浅い眠りを繰り返し、どのくらい時間が経ったんだろう。



「………!!」



静寂と暗闇の中。

目は開かない。


…身体は再び動かなくなっていた。


何もできない。

心臓の鼓動も感じない。

それどころか、何も感じない…。


…………無。


…これが死…?

私、死んじゃったの………?


いや、こうして意識があるんだから、私は存在してるはずなんだ。


……私は誰?

森山綾音。



…本当にそうだろうか。

それを証明する術は、ここには何もないのかもしれない。


昨日までの記憶も、私という意識が作り出した夢や妄想なんだとしたら…。

そもそも今の私の存在自体、『森山綾音』であるという記憶を刷り込まれた誰か…もしくは何かなのかもしれないし。


無駄に変な想像をしてしまい、現状を理解しようとすればするほど混乱する。

何が何だか分からないし、考え始めるときりがないよ…。



もういいか…。もうだめかもしれない。


そんな諦めにも似た感情に支配されていき、流され、心を委ねそうになった時。

どこかから、誰かの声が聞こえてきたような気がしたんだ。

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