第24話

どちらにせよあれが現実だったのかなんて、今は確かめる術はない。



「綾音、よかったらバイト代わろっか?今日は帰ってゆっくりしなよ。明日は学校休みだしさ」


「…うん、ありがとね。璃咲が平気なら、そうしたい。ゴメン」



バイト先に連絡を入れ、璃咲と別れて家に帰る。


食欲は無かったけど、ほんの少しだけごはんを食べて、早めにお風呂に入った。


ふぅ…。


いつもよりものんびりと湯船に浸かり、そして今は…20時を少し過ぎたところ。


部屋に戻り、髪を乾かしながら携帯を見てみると、カナデくんからLINEが来ていた。



『あーちゃん、お疲れ!』

『今日もバイトかな』


  『今日はちょっと体調崩してさ』

  『バイトは休んじゃったんだ』


『えーっ!大丈夫?風邪?』


  『んー』

  『風邪とは違うんだけど』

  『まー大丈夫だよ』

  『ありがとね』


『そっか、お大事にね』

『俺もさー、最近調子悪かったんだけど』

『今はすごく調子いいんだ』

『俺の体調の良さ、分けてあげたいくらいだよ』



今日あった事をカナデくんに話してみようかと思ったけど…おかしな人だと思われそうだし、やめておこーっと。



そしてそれから他愛のないやり取りをしばらくして、多少気分は紛れてきたような気がする。

返信も少しずつ間が空くようになってきたし、会話はなんとなく一段落したから、とりあえずベッドに入ってみる。


仰向けになってじっと天井を見つめていると、また時が止まってしまうんじゃないかと考えてしまい、怖くなるんだ…。

呼吸は浅くなり、過呼吸気味にする息は震えて、波打っているのが自分でも分かるし。


あの恐怖に支配されそうになる度に、寝返りをうったり、手を動かしてみたり。

身体が動くことに安心するんだけど、その次の瞬間にはあの記憶が何度も蘇り、涙と震えから漏れる声が静寂の中でこだまする。

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