第二章◇ここにいるよ

第21話

どれくらい時が経ったんだろうな…。


止まった時に対して、どれくらい経ったのかっていうのもおかしな話なんだけど。

あくまで体感ではだけど、もうすでに何時間も過ぎたような気がする。

瞬きさえできず、同じ風景が目の前に焼き付いていて、全く動かない。


気が狂いそう…。

 

私は死んでしまったの?

これが死後の世界だとでもいうの…?

動くこともできないから、眠ることさえできない。



永遠って、素敵な言葉。

大好きな言葉なんだ。


…でも、こんな永遠なんていらないよ…。

もしも私がこのままずっと………



「……たしが…」



…え?



「……………が…ま…………るよ……」



完全なる静寂の中でかすかに聞こえる、蚊の鳴くような小さな声。

近いようで遠く、何を言っているのかは聞き取れなかった。


…今のはなんだろうと思った次の瞬間、目の前は真っ白になり、意識はゆっくりと遠退いていった…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る