あなたの心、私の心。

第10話

上がってからだいぶ経ち、22時を過ぎた頃。

この時間になると、室内であっても外が段々と冷え込んできたのが分かるほど。

わわー！風も吹いてるみたいだし、寒そうだなー。

「バイトの経験談になると話止まんなくなるね。じゃ、そろそろ帰ろっか」

「そーだねー」

璃咲とはもともと共通の話題がたくさんあるんだけど、バイトが一緒だから話のネタはとにかく尽きない。

話し始めると、いつもあっという間に時間が経っちゃうなー。

「はい、綾音。また明日ね」

「うん、じゃあまたね。お疲れ様」

風に煽られながら帰る帰り道。

頬と足が冷たくなって、ちぎれそうになりながらも自転車のペダルを漕ぎ続けた。

家に着き、自転車を置き、素早く鍵を開けて家のドアを開く。

その瞬間に中から溢れ来る温かな空気に、私の体は芯までほわっと包まれる。

「ただいまー」

「はい、お帰りねー」

部屋に荷物を置いて、上着をを脱いで…その後は真っ先にお風呂へと向かう。

一日も終わりに近づいて、のんびり過ごす至福の時だ。

うんうん今日も頑張りましたよ。

そしてお風呂から上がり、髪を乾かしながら携帯を出して、私はもう一人の親友のもとへと向かった。

Xで知り合った、カナデくん。

やりとりするようになってもう半年以上になるけど、お互い顔も知らない私達。

LINEやXでのやり取りだけだから、声も聞いた事がない。

結構年上っぽいんだけど、話が合うからとにかく楽しいんだよね。