第32話

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「あれ、麻美?」




あたしより数歩先に進んであたしが立ち止まったのに気付いたの修一も立ち止まった。





歩くときだってそう、いつも前ばかり見ていてあたしの方は微塵も見てくれてない。




あたしが見る修一は…いつも横顔ばかり。




「あーさちゃー「触らないで」




心配して手を伸ばした修一の手を払ってそう叫んだ。




「あさ…み」




「ふざけるのもいい加減にして!!あたしの気も知らないで…っ!



十何年もあんたが好きなのに…、何で気づかないのよ!馬鹿!!



恋できねーって何よ!ずっとずっとあんただけに恋してるわよ!!



あんたが…修一が、あたしに振り向けばあたしの恋だって実るしこんな苦しい思いしなくて済むのに!!



馬鹿…馬鹿馬鹿馬鹿!!!



修一なんか…大好きだけど大嫌いっ!!!!!」





あたしはお弁当を入れていたトートバックを修一に投げつけて家まで走った。




あーあ、言っちゃった。




一線越えちゃったよ。




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