第11話

「リーリアント」

「……え?」

 馬車の外に大きな街と城が見え始めた頃、不機嫌そうにリュシオスが呟く。


「お前の名前だ。リリアは愛称ということにする。

 表向きはカズラールの養女で、リーリアント・フォルデーク・カズラール。覚えておけ」

 リュシオスの言葉に、リリアは少し黙ってから、


「ねえ、ここって王都? もしかして」

 それが、リリアの乏しい知識から出た推測だった。

「ああ」

 やはり不機嫌に相槌を打つリュシオス。暫く進む内、王都の門に辿り着き、驚くほど早く通過した。



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