NTR4

第44話

─────「ウミ」


名前を呼ばれる度に、ビクッ!!と肩が動いた。驚いて動いたんじゃなくて、怖くて、恐怖で震えがあるような…──冷や汗が出る感覚。




「ウミ、なにしてるの?」



なにも、してない。

ただ宿題をしてるだけ。

見れば、分かるのに。


鉛筆を持ってる手の中が汗で滲む。



「これ、誰のドリル?ユウキくんって誰?」



──ルイが、友達から借りたドリルを手に持った。タラタラと、汗が止まらない。

どうしよう…どうしよう…どうしよう…。



「おととい、風邪で…休んだでしょ…? その時の答え…見せてもらうのに…借りた…」




ちゃんと、理由を言ったのに。

俺の方に──鋭い目を向けてきたルイは、「…ウミが貸してって言ったの?」と、ドリルを机の上に置き、ずっとずっと震えている俺の肩に腕を回した。



こわい──…


ヒカル、ヒカルは?

まだ帰って来てないの?



「ウミが声をかけたの? ウミは俺のなのに、なんで俺を頼らないの? 俺と一緒に宿題しようねっていつも言ってるよね?なんで? なんで借りたの? 俺じゃ嫌だったの?」


「ち、ちがう、あった方が、宿題しやすいと思ったんだ…!だからっ」


「じゃあ、ウミから声かけたの?」


「る、るい…」


「ウミから貸してって言ったんだ?」


「る、るいと、したかった…宿題のあと、すぐに、るいと…遊べると思って…」



肩のさする手つきが強くなり、ルイが不機嫌になったのが分かった。



「いいよ、言い訳は」


「ちがう、ほんとに……」


「手、出して」



手──…

ルイのすることが何となく分かって、いやだいやだと首を横に振った。



「…も、借りない、借りないから…」


「借りないならもうウミの手、いらないよね?」


「やめてるいっ…」


「やめて?なんでやめるの?ウミは俺のなのに」

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