第24話

でもそうなると、話を聞く人物が消えていく。

誰かいい人はいないか。



「…目星な」



ヒカル、両親、橘さん、小早川さん、南野さん、阪下さん以外で、──過去の出来事、異常性癖をよく知る人物。



いるか?

そんなやつ。

そう思ってコーヒーを飲もうとした時、──1人、思い浮かんだ。





────ルイ。

あいつなら、異常性癖のことをよく知ってる。

もしかしたら両親も、ルイにだけ過去のことを話しているかもしれない。


……いや、ダメだ。

そう思って飲もうとしていたコーヒーを飲む。

俺自身がもうルイに関わりたくない。

俺を殺そうとした男に、何を聞くって言うんだ。




だったら、──ルイの彼女は?

奈都なら、ルイの異常性癖の事も知っている。それにヒカルが〝ウゼー奴〟にちょっかい出されている時、一緒にいた人物。

ヒカルから、メビウスという建物に関して、何か聞いているかもしれない。



奈都なら、ルイのことを知りたいとかどうとでも言えば、簡単に教えてくれそうだし。



奈都が知っているのは憶測でしかない。だけどルイよりはマシだ。



「ある、と思う」


「ほんとですか?」


「……けど、」




連絡先がない。

なんなら、家だって知らない。

ヒカルなら知ってそうだけど。

聞くわけにもいかず、どうするかと悩んだ時、奈都の言葉を思い出した。



『私、ルイくんのこと以外でも勉強しにここに通ってるの。またいつでも相談とかのるから』




図書館──

いけるか?



「…なんでもない、1人、大丈夫だと思う」


「すみません…」


「何が?」


「あなたは、関係ないのに…。全て任せてしまって…」



今更なことに、ため息が出そうになったけど。



「分かるから」


「え?」


「いつ殺されるか分からない毎日ってやつ、すごい怖いことも」


「……それって」


「いいよ、この話は」


「…」


「今日は帰って大丈夫なの?」


「…はい、大丈夫です。あの人多分、殺す方法を考えている段階だから」




考えている段階…。

なら、ルイみたいに理性がないわけでもないってこと。

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