第72話

陽南が哀しそうに笑う


ああ、わかってる


このベランダは今や境界線


俺と陽南の心の境界線なんだ


陽南が俺の部屋に来るのもいまは玄関からだけ


このベランダは決して使わない



「……わかってるさ。けど!俺は――」


「ごめんね、中途半端なことしちゃって。今度こそおやすみッ!!」


「あ、」


ピシャリと窓は閉まり、シャーッとカーテンが一気に綴じられてしまった

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