第52話

ゆっくりと離れて、目をさらに丸くしている陽南の唇に指を這わせていく


好きだとは言えない


それでも、直に陽南を感じれるのはここだけ



「……っ…なつ…きっ」


陽南が表情を歪めていく。そんな陽南から視線を逸らして



「―――先に下に降りてて。着替えたらすぐ行くから」


掴んでいた腕を離すと同時に陽南を突き放した


「…――わかった。じゃ」


そう言ってドアノブに手をかけた陽南の背中に思わず


「――ごめんな、陽南」



そう言わずにはいられなかった……

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