第296話

携帯を開いてみて、その相手の名前と内容に、一瞬戸惑う。


【From ナナミ】

【話があるから今すぐ来てほしい】


一言、そう書かれたメール。他に書かれていたのは場所だけ。


その場所はほとんど縁がなく、足を踏み入れたことがなかったからか、少しの怖さも相まって、躊躇ってしまったけど。


それでも結局、指定された、人気のない体育館の裏側に向かったあたしに待っていたのは―――、コウキとナナミが、抱き合う姿だった。

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