第274話

「マナ、こっち」


コウキに促されるまま、玄関のすぐ横にある階段を昇る。


二階に上がってすぐの場所にある部屋から、微かにだけど音楽が漏れ聴こえてきた。


「…お姉さん?」


その部屋の前でコウキの袖をクイッと引っ張って訊いてみた。


コウキは肩越しに振り向いて、ああ、と呟く。


「そうそう。姉貴の部屋」


それだけ言ってコウキはそのすぐ横の部屋のドアを開けた。


「で、ここが俺の部屋ね」

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