第188話

壁にピタリとつけていた身体がビクッと震え、息を飲んだ。


「なんでだよ…なんで須山なんだよ…」


呻くように何度もそう繰り返し呟きながら、あたしの手首をさらに強く握る。


「タ、タクミ…痛い…よ」



痛さに歪むあたしをタクミの冷たく感情の読めない瞳が見下ろしている。


どうして今さら。


「離し…て」


「アイツが…なんでお前と付き合うことにしたのか。…お前、わかってるのか?」



「……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る