第187話

「なんで、」


「えっ?――いっ…」


あたしの手首を掴むタクミの手の力がグッと強まるのを感じる。


苦しそうに眉間に皺を寄せ、あたしを見下ろしながら、だけどその視線はあたしを見ていない。


「タクミ…?」


痛さに顔を歪めながらタクミの名前を小さく呟く。


それに反応するように視線を向けたタクミは、


「なんで須山なんだよっ」



そう叫んだと同時にあたしの顔の横の壁を思いっきり拳で叩いた。

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