第181話

「タ、タク…タクミっ。離して」


恐怖が全身を駆け巡る。


あんなに好きだったはずなのに、こんな風に感じてしまうなんて。


これ以上、失望したくないのに。


………これ以上、嫌いになんて、なりたくない…のに。



「ヤダね。離したら…逃げるつもりだろ?」


「に、逃げないっ。逃げないから――」


離して。


その言葉はタクミの唇に塞がれて、声にはならなかった。

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