第163話
「ちょっと待って!まだ話は終わってないっ」
ドアに向かって歩き始めていたあたしたちに、ナナミの声と鋭い視線が飛ぶ。
だけど、
「……俺にはない」
コウキはもうナナミを見なかった。
「コ、コウキ。待ってよ……待って」
ナナミの言葉が屋上に吹く風に流されて、消えていく。
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