第153話

ズリッと上履きを引きずる音が聞こえて、コウキがさらにナナミに近づく気配だけを感じていた。


だって、あたしは…見たくないから。


そんな二人から目を逸らして俯くと、下唇をギュッとキツく噛み締めた。


だけど、声だけはどうしようもなくて、嫌でも耳に流れてきてしまう。


耳を塞ぎたい。でも、それができない。


聞きたくないのに、気になってしまう、二人の会話。

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