第110話

「…ふーん。本当に近いんだな」


あたしの家の前で立ち止まって、道路向かい側のカレンが住むマンションを見上げる。


「でしょ?……来たことあるの?カレンの家」


「ああ、あるよ。何度か」


「…へぇ…そう…なんだ」



なんだろう…。胸の奥が霞がかかったようにモヤモヤとする。


同じ中学だったんだし、遊びに来てたって不思議じゃないのに…。

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