第109話
だけど、コウキの手を振り払う気は、その時のあたしにはなぜかなくて、
たださっきから煩いくらいにドキドキする胸を反対の手で抑えるのに必死だった。
「――マナん家ってさ…カレンん家のすぐ近く…だっけ」
「え?…あ、うん。カレンのマンションがうちの家の前の道路向かい側にあるの」
その道路が学区の境界線で、
幼なじみで親友のカレンとは中学が別々になってしまったんだ。
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