第58話
その時も、ナナミの表情は複雑そうだった。
今も、声をかけてきたくせに、なかなか次の言葉を発しようとはしない。
だから、ナナミに無言で責められてるような気分になる。
そう思っていたから、
「なに、ナナミ。俺らこれから帰るんだけど。なんか用?」
コウキがあたしの肩を抱き寄せて、胸に顔を埋める形になってしまったとしても、
正直、ホッとしてしまった。
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