第57話

「……ナナミ?」


お店から現れたのはナナミだった。


気づかなかった。ナナミがいたことに。


そんなに広い店内じゃないけど、でもそれでも入り口側に座っていたからか、奥に誰がいたのか、わからなかった。


―――もしかして、さっき感じた黒い感情を持った視線は……ナナミ?


そう思うとなぜか納得できた……気がした。


だって、タクミと別れたこと、ナナミはきっとまだ知らない。


なのに、コウキはあたしとの交際をクラスで堂々と宣言した。

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