第41話

肩に置いた腕にさらに力を込めて、ぐっと引き寄せられて、そんな体勢のまま、タクミの前を通りすぎる。



あたしは俯いているから、タクミの表情はわからない。


そのまま通り過ぎようとしたとき、


「マナ…」


今まで聞いたこともないような、今にも消え入りそうなぐらいの小さな声であたしの名前を呼んだタクミ。



一瞬、それに反応してしまったけど、その瞬間、コウキが足を速めた…ような気がしたから、タクミの方は見ないまま、自分のクラスの下駄箱まで歩いた。

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