第39話
「えっ?あ、あぁ……うん」
コウキの向こうにいるはずのタクミの気配はここからじゃ感じない。
迷いながらも、コウキのそんな笑顔に思わず頷いた。
「んじゃ、行こうぜ」
そう言うとくるりと体を反転させて、あたしの肩に腕を回してきた。
「ちょっ…!?」
思わず振り払おうとしたあたしの耳元に、
「マナ、見せつけてやろうぜ」
コウキの、低音なのに甘い声が耳の奥に響いて、ゾクリと震えた。
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