第89話

「――ううん、やっぱりいい!ごめんね、呼び止めたりして」


その時、彼女の瞳が…微かに揺れるのを感じた



あー…最低だ


彼女に八つ当たりしても仕方がないのに


彼女は何も関係ないのに


つい、冷たくあしらってしまった


「あー…いや、何?何か用事があったんだよね?」


一旦、進みかけた足をまた彼女の前まで戻した


もうブルーの傘は消えていた―――

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