第51話

「た、滝川先生?」



河本さんがビックリした声を出したから

俺は自分のしている事に気づく




「あ、ごめん。ありがとうって伝えたかったから・・」



初めてだった


誰かに医師になった事を認められたこと



自分の存在を認めてくれたことを言葉にしてもらえたこと




「やだー!気を持たせる事しないでよ?諦めきれないじゃないの~、」




河本さんはそう言っていつものようにカラカラと笑い出す




「ねぇ、タッキーの彼女ってどんな人なの?」




「え?それは・・・」



はなとは言いにくい




「北澤先生から聞いたよ?高校生の時から大好きだったんでしょ?」




「まぁ・・そうだね、」




「いいなぁ~タッキーに思われて・・・」




「・・そうかな、」




腕時計を何気に見たら、結構時間が経っていた



はなは中庭に来なかった

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