僕しか知らないマイナーゲーム世界に転移しました
しょうわな人
第1話 追放
僕の名前は
僕の横にいるのは
僕たちは血の繋がらない
僕の父親と美紀の母親が再婚したのは僕たちが中学一年生の時。
その日から僕と美紀は兄妹になった。
今は同じクラスで学級委員長と副委員長をしている。
で、そんな僕たち二人にとんでもない問題が起こっていた。
「
「そうだなぁ…… 僕も中山くんの意見に賛成だ」
「そうねぇ。だって、外れなんでしょ?」
「はい。残念ですがエータ様とミキ様の授かった【毒】と【影】というスキルは何の役にも立たない外れだというのがこの世界の常識なのです……」
僕たち二人を含めたクラスメート三十二人を召喚した王女様がそう言う。
「私どもとしましてもまさか召喚した方に外れスキルをお持ちの方が居られるとは、考えてもみませんでしたので……」
王女様の言葉に先の中山が言葉をかぶせた。
「だぁらよ、イインチョとフクは追放でいいべ」
普段から昭和のヤンキーに憧れを持つ中山は学校では問題児で、そんな中山を言葉と実力でやり込めていた僕はかなり嫌われている。
そんな僕が外れと言われるスキルを持っている事に中山はここぞとばかりに言いたい放題だ。
「そうですね…… どうでしょう、エータ様、ミキ様。かつてのお仲間がそう仰っておられますし、私どもとしましても鍛えても甲斐の無いお二方を城にとどめ置くのは得策ではございません。なので、庶民ならば半年は暮らせるだけの金銭を、それぞれお二方にお渡し致しますので、どうか城から大人しく出ていっていただけますでしょうか?」
僕はその言葉に愕然としながらも、クラスメートたちの顔を見てここに居るのもヤバいなと思った。
一人を除いてみんなの顔が出て行けという顔をしているから。その一人とは風紀委員の
「ちょっと待ちなさいよ、中山! こんな訳の分からない場所にいきなり連れてこられて、それで魔族の脅威から助けて欲しいって言われて、それをあっさり信じるのもどうかと思うけど、友だちに出て行けっていうのは違うんじゃない!?」
「うるせぇなぁ、フウキは。
中山は僕よりも弱いけど、それでもクラスの中では二番目に強い。というかスキルで【拳聖】を得た中山は既に僕よりも強くなってるそうだが……
実際に中山の能力値は体力、魔力は四桁だ。僕の体力、魔力は二桁だ。但し、気力、知力は中山は二桁で僕は三桁なんだが。
僕はチラッと義妹を見る。義妹の美紀はそんな僕の目を見て頷く。
「うん、分かった。それがクラスの総意で、召喚した人たちの意見ならば従う事にするよ。僕と美紀、京香さんは先ほど王女様が言ったお金を貰ってこの城を出ていき、みんなの邪魔にならない場所で何とか生活していけるように頑張ってみるよ」
僕の言葉にさっそく王女様が動く。
「セバスチャン!! エータ様がお心変わりされる前に御三方に金貨五枚ずつをお渡しして城門までご案内なさい!!」
「ハッ、姫殿下の仰せのままに!!」
こうして、僕と美紀、京香さんの三人は無事に金貨五枚ずつを手にして城を出ていけた。
全ては僕の思惑通りだとは、中山も王女様も最後まで気がついてないだろうけどね。
さてと、ここまで聞いて一体なんの事やらと不思議に思っただろうと思うけど、簡潔に言うとクラス転移をさせられた僕たちは、外れと言われるスキルを授かったから、足手まといになると思われてどうせこの世界ではお金があっても生きられないだろうという理由で、放り出されたという事なんだ。
分かったかな? ちなみに京香さんのスキルは【
一文字のスキルはこの世界では外れと呼ばれるらしいけど、【武】だけは過去の文献に拠れば役に立つ事もあるらしいとの事で、追放は免れていたんだけど、正義感の強い京香さんは僕たち兄妹が追放されるのが我慢出来ずに口を挟んでしまったようだ。
で、一緒に追放される事になったと……
ゴメンよ京香さん。でもあの中に居ても京香さんもヤバかったと思うから、僕たち二人と一緒に追放されて良かったと思うよ。
「それではコチラをお持ち下さい」
そう言ってセバスチャンが渡してきたのは二つの袋で、一つは青、一つは赤だ。
「風よ、この場の音を周りより遮断せよ!」
セバスチャンがそう言ってから僕たち三人に言う。
「お三人にお伝えします。姫殿下はお三人に向けて追手を出します。なので、この城門を出られたら直ぐに駆け足で真っ直ぐに進まれて、王都の西門より隣国行きの馬車にお乗りなさい。その道中で早い内に森林地帯を通りますので、その中でこの赤い方の袋を捨てるのです。青の袋の方はちゃんと金貨五枚と護身用の武器、簡単な食事なども入れてます。容量は五立方メートルと小さいですが魔術ザックとなっておりますから、隣国に行っても活躍する筈です。姫殿下が追手を放つのは勇者さま方に説明を終えた翌日となりますから、今日中に隣国行きの馬車に乗るんですぞ! さあ、それでは城門まで案内します。私の言った事をどうか信じて行動されるように。あ、青の袋の中に馬車に乗る際に必要な
いきなり急かすセバスチャンに煽られて僕たち三人も走り出し、言われた通りに城門前の道を真っ直ぐに駆け足で駆け抜けた。
実は僕が一番体力が無いと分かったのもこの時だったけど……
僕たちは無事に隣国行きの馬車に乗ることが出来た。僕たち以外にも乗客は居るけれども馬車内には余裕があって十人乗りだけど半分の五人で出発だ。
御者さんが言うには途中の村で一泊して二日目のお昼頃には隣国の領土の村に到着するらしい。
そこまででこの馬車は終わりで、隣国の王都に行くのならその村から出ている馬車に乗り換える必要があるそうだ。まあ、王都に行くつもりは無いんだけど。
隣国の辺境地になる場所に向かう予定だ。
「瑛太くん、どうしてセバスチャンを信じたの?」
馬車で移動が始まったら京香さんが聞いてきた。けれども僕たち以外にも乗客が二人いたから僕は後でねと京香さんに伝えたんだ。この二人がスパイじゃないと判断できないからね。
そして森林内に入った馬車。十分ほど進んだ場所で僕は二人から赤い袋を貰って馬車内から外に向かって捨てた。赤い袋は場所感知の魔法がかけられているからね。それと、中に入っているものに触れると呪いをかけられるから、二人には中の物を触らないようにと伝えておいた。
もう一つの青い袋の中には馬車に乗るための札と、金貨五枚分に相当する額の硬貨、それに僕たちの身分証明書が入っている。
身分証明書では僕の名前はエータ、美紀はミキ、京香さんはキョーカと記されている。なのでこれからはお互いにそう呼び合う事にした。
隣国の村に到着、宿に向かうと一泊ひとり銀貨二枚だったので、三人部屋をとって僕の手持ちの硬貨から三人分を支払った。
今のところ追手の気配は無い。捜索は王都内を優先してるだろうからね。いきなり国外に向かうとは王女様や追手も考えない筈だから。
そして宿の部屋でようやく僕は二人に話を始めたんだ。
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