095.
第414話
椿に言われていた連合会を翌日に控えたこの日、私はひとりである場所へ向かっていた
緑色の葉のトンネルは健在で、
そこから漏れ出る太陽の光に、まだまだ暑さも拭えずに顔を顰めてしまいそうになる
徐々に見ててくる大きな門と、目立つ立ち姿の奴を捉えれば自然と歩くスピードが速くなる
「響」
目の前まで辿り着いた時、私は、久しぶりに見る奴の名を呼んだ
「久しぶりだな、リナ」
大きな手が私の頭を撫でる
今回私は夏休みの間に来れなかったユリノキに、ひとりで訪ねたわけだ
「夏休みは楽しかったか?」
「それなりに」
「リナ、旅行行ったんだってな。愁が恨ましげに話してたぜ」
普段から小さい子供を相手にしているせいか、それとも昔からの癖なのか、響は私に対してはどこか遥か歳下のような扱いをする時がある
豪快に私の頭を撫でる響と、
首を横に傾ける私
「愁、ここに来たの」
ただの世間話の中に、1つ引っかかるものがあり私は口を開き響に尋ねる
「この前な」
「へぇ」
俯きながら、響に対する返答は素っ気ないものだった
愁はきっと私の代わりにここまで足を運んでくれたんだろう
でも、
「リナは、愁と行きたかったんだよな」
私の気持ちを代弁するように、響はそう言った
「うん」
行きたかった、と言うよりは、
ひと言声を掛けてくれれば、なんて思いがあるわけで
それは響が言っている言葉と同じようなものだろうと思い肯定の意味を込めて頷いた
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