第88話
「中途半端にしたツケがこれだろ。元は関係のねぇ女ひとりを巻き込んだのはなにもダウトだけじゃねぇだろ」
だから、最初から俺は一定の距離を引いておけと言ったんだろうよ
もう誰もこの空間で口出す者はいない
「奈々を手放せねぇなら奈々を傍に置いて、そんで、里奈子ちゃんを自由にしてやれよ」
そしたら、里奈子ちゃんはその男がどうにでも守ってくれんだろ。
それが無理ならな、
「無理なら、迷うなよ。里奈子ちゃんを、守ることに」
ーーー[亜貴は優しいね]
何処か身体の奥底から、姉さんのそんな声が響いた気がしたじゃねぇの。
そういや、俺もずっと姉さん以外の女なんてどいつも同じにしか見えなかったけど、
里奈子ちゃんは里奈子ちゃんだったな
まぁあんな愛想なしの女なんて里奈子ちゃんぐれぇだったし
ただ、でも、優しくしてやらねぇと
[話してくれて嬉しい、ありがとう]
そう言ってくれた里奈子ちゃんのためにもな
「大事にしやらなきゃならねぇもの、見失うな
里奈子ちゃんから与えられる優しさに甘えてんじゃねぇよ」
俺からしてみたらな
大切な女1人を、無条件に守れて傍に置いておけれるなんて、贅沢すぎるっつうんだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます