第86話

「俺は信用出来ねぇな」


思いの外低くでたその声に他の3人の視線が一斉に向けられる



野郎からんな熱い視線貰ってもねぇ、嬉しかねぇよ



「亜貴、なにが言いたい」



「言い方変えてやろうか。今後また同じことが起きた時、躊躇いなく奈々捨てて、里奈子ちゃんを選べんのかよ」



後悔もした先に、どの答えがあんのか知らねぇけど、


大切にすると守るは違ぇだろ



険しくなる藍の表情、あと少し挑発すれば、奴の逆鱗に触れてここは戦場と化す



勘弁願いてぇよ〜



つい意地悪い言い方になっちまった



許してくれよ、藍も椿も



ここを間違えたら、もう二度とやり直しは効かねぇ気がするからな





あー煙草吸いてぇよ。ヤニ切れだ




ったく、なんであの厄介な女がここで登場してくるかねぇ〜



関係ねぇ外野の俺や陽向まで巻き込まれはごめんじゃねぇのよ




へらり、感情もねぇただ適当な笑みを浮かべた。


そんな俺に、藍と同時に椿も一歩、俺に詰めよろうとする




おいおい、お前ら2人でこられたら俺までこの病院の硬ぇベッドに寝転がされちまうことになるだろ




まぁ、話を聞けよ




そんな意味も込めて両手を掲げ、2人を制す。

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