第69話

「よく喋るな」


ッチ、と盛大に舌打ちをかまし、そのまま奴は私の顔へと近づいてくる。



この流れは嫌でも分かる。



…キス、される





奴を睨みつけ、キュッと唇を噛み締めて最大限の抵抗でその時間を耐えようと思っていた時だった





ーーーーガンッッ!!!!





盛大な何かが壊れ、


そして後少しでキスしそうになっていた赤髪の男が激しく数メートル先へと吹っ飛んでいた。





この状況を確認しようと見回そうと思うそのつかの間




今度は、私がグイッと起こされ背後から誰かに抱き込むようにされたのだった。



「〜〜…!?ちょっ、なに」


思わずそう言葉が漏れるほど、



この一連の流れは実に秒単位だった。






数秒前に盛大に壊れたものは、この部屋の入口扉だったのか。



そして、見事に吹っ飛ばされた赤髪の男は意識はかろうじてあるもののダメージは大きく、


また2人のスーツ姿の男に拘束されその場から動くことはまず出来ない




というか、あの蹴りで意識がかろうじてある時点でこの赤髪の男も大した奴だと思う。




そう、ようやく辺りを見回せた時…

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