第54話
「椿の肺が、
もう真っ黒だなんて悲しいな」
後部座席の開いている窓ガラスの縁に滑らかに腕を置き、楽しそうに俺を見上げる。
「取り替えてくれるか?」
「ふふ、やーだ」
イタズラっ子のように笑って、ヒラヒラと欲しくて堪んないソレを俺の視界へと映し出す。
時に大人びて凛として
こうして子供っぽくはしゃぐその姿に
俺は静かに笑みを零した。
やだなら、仕方ない
「それなら、俺の相棒返してくれよ」
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