第39話

誰でもいい、とにかく…



携帯画面を開けば、数分前までの間に数十件の不在着信が表示されていた




藍と椿、陽向から


藍と椿は折り返ししてくれたのか



とりあえず良かった、電話に出れるという状況なのがわかった





私は、1番上にきていた不在着信へとタップしようとした時、






[゛危ない゛ってどうしようもなくなる前に連絡してこいよ]



初めて奴と携帯の番号を教えてもらった時の

眠そうに、だけどはっきりとそう言っていた奴の言葉を思い出した



ー…何故、思い出して、そうしたのか



私は、その時の言葉を頼りに、


不思議と、奴からきていた不在着信へとタップした



「つばき、出て」



お願い。



少しの息遣いでも気をつけなければいけない状況で、自然と私はそう奴の名を零す。




ギュッ、と私は携帯を握り締めるようにして力を込めた。





たった、数コールだけの1秒も満たないこの時間が酷く長いと思った。



『りなこか?お前、今何してる?』

ー…何処にいる


今まで聞いたことも無い、

普段の飄々と余裕そうな奴からは考えられないくらいに酷く焦った声色だった。

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