第15話

「藍。私の利用価値は藍が決めるんでしょ」


「お前、それ今言うか」


「今だから言っている」


いつかの時に藍は、私にそう言ったんだ。その言葉があったからこそ今私は藍たちの傍にいる。



縋り付くようで情けない



けど、どうしても譲れない


良いも悪いも言わない藍に痺れを切らすように言葉を続ける。




「せめて、タケル達の所に助け行く時私も連れてって。

……………まぁ、よっぽどの事がない限り大人しくしてる」




「その間はなんだ。お前危なっかしくいからいやだ」



そんな子供じみた言い方で、

どさくさに紛れてぎゅううぅ、と音が出るんじゃないかってくらいの強さで私の腹回りに抱きつき頭を押し付けやがった。



「お願い、藍」


「……」


サラリと触り心地の良い髪をひと撫でする。

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