040.

第52話

「ミキさん、アイツらはもう来てんの〜?」


ふらり、私の横に立っていた亜貴はそうミキに尋ねる。


奴の言いたいことは恐らくタケル達のことだ。



元々大人っぽい上党な色気を持つ亜貴のその雰囲気と、綺麗で気品の高いミキの雰囲気は少しばかり似ているものがある。


亜貴に話しかけられたミキは、


それは一瞬だけ、黒いその瞳が揺れた。



「え、えぇ。ちょっと前にここに着いて、既に外に出てってるよ」


藍達と話すより、その声は少し震えているのが気になる。



そんなミキの様子に気づいているのか、


「少しばかり遅れちまったじゃねぇの」


…亜貴は、気付かないふりをしたんだ。



ケラケラ笑う亜貴はいつも通りだ。



藍達もどうってことない様子で中へ入って行く為、私もそれに習う。

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