第44話

本格的な夏が訪れ、ようやくの長期休みに入った。


所謂夏休み。


特にすることもない私は家で寛いでいれば、

突然掛かってきた陽向からの電話で唐突な誘いを受けたのだ。


[りなちゃん!温泉旅行だよ!海だよ!行こう!]


と。


夏休みに入る前に、1度だけ言われていたがあれからなにもなかった為すっかり忘れていた話だ。



当然断ろうと思ったが既に遅く、奴らは私のマンションまで迎えに来ていたのだ。


居留守も使えなければ、

そのまま奴らを放置しておくのも、このマンションの住居人達にも申し訳ないと思った私は、数十分間考えた末に簡単に荷造りし行くことにした。



それで今に至るのだが、


奴らは一体何処まで連れ行く気だ。



いつもは真ん中や1番後部座席の方へ座る陽向は、長距離になると車酔いするらしく今日は助手席の方へ座っている。


はちみつベージュの綿菓子のような髪、前の祭りの時と同様に前髪を上げている。


「りなちゃん、海入ろうね〜」


陽向の笑った顔も綿菓子のようにふわふわしてる。

物凄く上機嫌な様子。

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