第72話

気まぐれに言った言葉はもう私にとってはどうでも良くて、さっき帰る前に慧二郎さんから貰った茶菓子を開けることに集中する。



白の餅生地に包まれた桜色の餡。


パクりとひと口。


ふんわり広がる甘ったるい桜味に、思わず頬が緩む。

「ん」

その味を堪能するかのように満足気に私は小さく頷く。


これ食べたら帰してもらおう。



そんな事を思っていたら、視線が4つ、私の方に向いてるのに気づく。



パッとその視線に反応すれば、バッと逸らされる。


なんだ、気味が悪い。

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