第16話
ーside 陽向
「どうしようかねぇ〜」
「えーいいじゃん。私、アキといたい」
「先輩可愛こと言うじゃねぇの」
教室の隅っこで、そして俺の目の前で繰り広げられる甘ったるい雰囲気と会話に少しだけ酔いそうになる。
なーんてね。
目をハートにして頬を少しだけ赤めて、猫なで声でその男に擦り寄る女。
あーちゃん、どーせその女の名前なんて分かんねーくせに。
よく優しくできるよなー。
「…くしゅんっ!」
わー、花粉かな
鼻がムズムズくるし目が痒い。
ふぁぁと欠伸を噛み締める
春だなぁ〜まだ寒いけど、少しだけ暖かくもなったような気もするな〜なんて、気の抜けたような考えを頭の片隅におく。
「ひなちゃん、風邪か?」
「んーかふー…「熱出もあんじゃねぇのか。心配だな、よし俺がみてやろうかね。」」
゛花粉だと思うよ゛を言いたかったけど、あーちゃんの早口で話す言葉のせいで見事言えなかった。
あーちゃんは、冷たい瞳でその女を見る。
「また今度来てよ、先輩」
ヒラヒラ〜と緩く手を振られ、別に優しく笑いかけてもらってる訳でもないのに、そんな嘘で固められたような言葉に上機嫌なんだから、やっぱり馬鹿女だ。
アホすぎて同情することさえ忘れそうになる。
゛分かった。また連絡ちょうだいね゛って言って教室を出ていく馬鹿女。
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