第14話

「そうですか」

ふいっと私は彼らから視線を外し、とりあえず言葉を返す。

興味なく適当に返事したのがびっくりしたのか、2人の目が一瞬見開くのが確認できる。



「ふふ。篠原さんって変な子」

ぎこちなく少し違和感を覚える、花が咲いたように小さく笑う観月陽向はやっぱりどう見ても女にしか見えない。

そして、ある程度の距離感が奴と私の間に存在する。

ぱっちりと開かれている瞳の奥底に少しだけ怯えが見える。


てゆーか、観月陽向の言葉は、若干貶されたように聞こえるんだが。

なんで初対面の奴に変人扱いされなければいけないんだ。

なんとも失礼な奴。

私はそのままシカトを決め込む。


「俺達のこと興味ない?」

これも無視である。

なんなんだと言いたげに、訝しげに私は富浦亜貴を見る。確かに、目の前に映るこの男ふたりは非の打ち所の無いほど整った容姿だ。

だからと言ってどうもこうもしない。

生憎私にはそんな感情を持ち合わせてもいない。


ニヤリと口角を上げ、流し目に私を見るその男は、そのまま私の頬へ手を伸ばす。

「可愛げ無い女だね」

゛笑えばいいのに゛そうつけ加えられる。


そう思うんなら、別に放っておいて貰って構わない。

ただのクラスメイトの1人にしか過ぎない奴に愛想振りまくなんてめんどくさい。


「うるさい」


私は、私の頬に添えられた手を振り払いキッと富浦亜貴を睨みつける。



そんな富浦亜貴も表情を崩さない。

この、絶対崩れない表情がなんとも気味が悪い。

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