第61話

「今日どうしたの、体調悪い?」



昼間の講義が終わって恭子がアタシの顔を覗き込む。



「あ……別に。」



アタシは急いでノートをバッグの中に入れた。



「そう?無理しないでね?」



「うん……ありがと。」



恭子の言葉がアタシには心地悪かった。


理由は分かってる。



恭子は昨日拓実君と会っている。


二人は親友だから当たり前の事なのに、


アタシは恭子に嫉妬…していた。


もうそんな立場ではないのに。



「あ―クビ痛いわ。拓実の枕合わないんだよね。」



「えっ…」



アタシは思わず恭子の顔を見た。



「昨日さ、拓実に相談したい事があってアイツのマンションに行ったの。ついつい話が盛り上がっちゃってそのまま泊まったの。」



……アタシの心の中で何か崩れ落ちる感じがした――――。

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