第35話
「チカ……。」
チカは大学に来ていた。
「朝生の所に行かないの?」
「う、うん。別に会う約束とかしてないし…。」
アタシは視線を拓実君に向けるけど彼はチカの方を見ていた。
「ほら、こっちに来るよ。」
「拓実君、」
「行った方がいいよ、みおチャンに用があるんだから。」
どうして?
アタシは……拓実君と話しているのに。
「…後で連絡するから。」
拓実君はテーブルの下のアタシの手を一瞬握るとすぐに離して席を立った。
アタシの手は彼に触れられただけで熱を帯びて余韻まで残した。
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