第85話
企業常駐医師として半年も過ぎた頃、
人生の転機が訪れる。
その日は診療以外の書類処理があり残業をして医務室を出た。
そのまま職員出口を出ると
彼女がいた
「あ、滝川君・・こっ今晩は。アタシの事覚えて・・ないか。澄田はなです。」
忘れるわけない
忘れられないのに
どうして・・・
「澄田さん、ここに勤めてるの?」
「あ・・そうです。」
彼女は苦笑いをする。
半年前から彼女は俺の事を知っていた。
「澄田さん、今から時間取れる?」
俺はそう言って彼女の返事も聞かずに、手を引っ張って自分のマンションに連れて帰った。
俺の事を誰も知らないこの土地で
出会った
唯一、俺を知っている彼女に
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