第18話

花火も終わり、高校最後の文化祭が終わりを告げる。

そしてアタシ達の行為も終わった。


滝川君はアタシをそっと起こすと、自分のハンカチを濡らして・・・アタシ自身を拭いていく。



・・最後までそつなくこなす人。



「・・ごめんなさい、ブレザー汚してしまって。」



滝川君は何も言わずにアタシの身なりを整えていく。

そして彼も着替えを済ませると、最後にブレザーを拾った。

アタシはそれを見つめる。


「・・明日から制服は着ないから、気にしなくていい。」



え・・・?



「ど、どういう事?」



花火も終わって、月明かりだけを頼りに彼の表情を伺う。

でも見えない。



「明日からアメリカに留学するから。」




あ・・・留学、そうなんだ・・・へぇ・・・・



今日、滝川君にとっては最後の高校生活だったわけだ。へぇ・・最後にひと遊びをしたのか・・・・




「じゃあ、元気でね。さよなら。」



そう言ってアタシは先に視聴覚室をでた。



アタシは思い切り走って帰った。




次の日、彼は本当に日本から居なくなっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る