第16話

ずっと花火が上がっている間、アタシは滝川君に抱かれていた。


自分のブレザーをアタシの腰に敷いてスカートをたくし上げる。



彼は慣れている。


全然無駄な動きをしない。

ブレザーが冷たい床をカバーしてくれていた。



話した事もない彼に身体は支配されて、触れられる手にアタシは敏感になっていた。


もっと、滝川君に近づきたくて抱きついた。



・・・彼の体温を知りたかった。


そんなアタシを分かったのか滝川君は中途半端に着ていたアタシのブラウスを腕から抜いて、自分もシャツを脱いだ。



初めて触れた彼の背中は熱くて、しっとりと汗ばんでいた。



心から好きでもない、ただ憧れてる人・・なのに、こんなに彼を欲しいと思うのが分からなかった。



行為のせいだろうか、と身体を揺らされながら思っていた。

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