悩む女

第78話

「で、この涙の痕は、コウキが原因?」


実験室の机にすがるようにして立ったカレンは、ズバッとそう言ってあたしの頬をそっと撫でる。


「……」


無言のあたしの態度を肯定ととったのだろう。


ハァと溜め息が聞こえて、スッと頬から熱が消える。


「…泣くほど、好きになってたのね」


「いつの間に」そうポツリと呟いたカレン。


「甘いだけの軽い恋がしたかったんじゃないの?」


「……」



そうだった、はずなのに。

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