第63話
「マナ!?」
「マナ!!」
コウキの声。タクミの声。
二人があたしを呼ぶ声を振り切って走った。
いまのあたしは、きっとコウキに酷いことを吐いてしまう。
傷ついた分だけ、傷つけてしまう。
そうして、傍にいてくれようとするタクミに甘え、だけどきっと気持ちには応えられない。
朝のラッシュアワーで混雑する駅の構内を駆け抜け、たくさんの人と人の間をぬうように改札を潜った。
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