第49話

瞬間、訝しげに眉を寄せたコウキが目に入る。


「タクミ…」


タクミは離したばかりの手をヒラヒラとさせてあたしから少し距離を取った。


「マナが望むわけないだろ」


わかれよ、そんくらい。そう呟いて右の口端だけを上げて自嘲気味な笑みをコウキに向ける。


「なっ!そんなことお前に言われなくても――」



「けど!」


「あ?」


「……俺は諦めたわけじゃないから」


「――広川…」


タクミのその言葉はあたしとコウキ、どちらに向けたモノなのか。

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