揺れる女
第19話
タクミは結局、家まで送ってくれた。
皮肉にも、それは付き合っていたときには一度もなかったことだった。
電車の中では泣き腫らした顔を隠すように、触れるか触れないかくらいの強さで
そっと背中に手を添えて、タクミはあたしを自分の腕の中におさめていた。
泣いた顔を誰にも見られたくなくて俯くあたしをまるで守るように――
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