第9話

近づいてくるタクミの顔。



あと数センチ。


その距離が縮まった瞬間――。


「―――ごめ、…なさい」




あたしはタクミの胸に手を置いて、拒否した。


タクミにキスされそうになって、思わずすがりそうになりながら


だけど、こんな瞬間にも浮かぶのは、コウキの顔だなんて…。


「……マナ…」


「…ごめん、タクミ…あたしは…」

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