第83話
「由希先輩、ストップウォッチここに置いておきますね」
「うん、ありがとう。未来」
「いえっ!じゃあわたしも基礎練行ってきます!」
走って体育館を出ていく未来の背中を見つめて、自然溜め息が漏れる。
どんどん綺麗になっていく未来。
もともと、可愛い子だったけど、入学したての頃はまだ中学生が抜けきれない幼さが残っていた。
──夏を過ぎた頃だっただろうか。
あか抜けて、周囲を驚かせたのは。
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